チーズについて

アトリエ・ド・フロマージュのチーズ

アトリエ・ド・フロマージュのチーズ

カマンベール カマンベール

乳酸発酵、レンネット添加、牛乳の凝固、カッティングをへてカードという凝乳を型に詰めた写真です。 何度もひっくり返し形を整え、翌朝に型から出して塩漬けして熟成室に入れます。 白カビを噴霧した後、約10日間寝かせて出荷です。
生チーズ 生チーズ

前日から乳酸発酵させて、固まったカードを布の袋に入れて、脱水させている写真です。 袋詰めして2時間脱水させてから、水分のぬけたカードを袋から出して、ホモゲナイザー
(均質機)にかけて出来上がりです。
モッツァレラ モッツアレラ

カードが適正酸度に達すると延伸試験を行い、裁断、混練、成形後、
冷却し塩水に入れ出来上がりです。
リコッタ リコッタ

モッツアレラの製造で出たホエーを90℃以上で熱して、クエン酸を入れると、 乳の花と言われる蛋白質主体の真白な固形物が浮いてきます。 それがリコッタの素で掬い取って、型に入れたところの写真です。冷却後、型から出して出来上がりです。 
工  程(簡単に説明させていただきます)
搾乳 殺菌 スターター添加 カッティング 型詰め
工程-搾乳・殺菌 工程-スターター・カッティング 工程-片詰め
 
型出 熟成  
工程-型出 工程-熟成  

チーズ工房のこだわり

★毎朝近くの特定農家の牛乳と契約牧場のジャージー牛乳が届きます。
★こだわりの熟成

★沢山の種類のチーズがある理由

包装紙によるチーズの熟成の違い

チーズの種類:ブルー熟成期間:1ヵ月半

包装紙によるチーズの熟成の違いA紙  あまり変化がみられない。乾燥しすぎ。セロファンの接着が悪い
B紙 やや赤く変色。表面がべとつく。
C紙 赤く変色。ホエーの吸収も悪く、水分があまり逃げていない。
D紙(和紙)変色が少ない。ベトツキが少ない。4種類の中で最も熟成に適していた。

備考 
  ・ ラップしたものは全てにおいて、加湿ぎみだった。
・ D紙は従来から当社で使用の包装紙である。

工房で包装紙についていろいろ検討してみました。以前ピザの台紙をもう少し低コストを希望し、探してみたことがあります。新しい台紙で出荷しましたら、「焼く時にピザ生地についてはなれない」と苦情がきて前に戻した経験があります。変える前に実験もしたのですが、いろいろな環境で結果が違うということでしょうね。ただ単に紙といってもおろそかにはできません。  

その1

1.【カマンベールの熟成】

カマンベールの熟成1カマンベールの熟成2湿度70%、温度12℃のCAVE(熟成室)に約10日間、チーズを反転しながら寝かせます。但し、この条件は標準値。季節差やその日できたチーズの仕上がりで微妙に変えていきます。
あくまで熟成室から出したカマンベールが最高の状態であることを念頭に熟成させているのです。
その後、和紙に包んで包装、出荷となりますが、標準値でそれから6週間後に完熟を迎える。カマンベールがいちばんおいしい状態は、白カビの周囲が茶色くなったり、赤くなったり、時に黄色味を帯びる頃で「賞味期限」(完熟のとき)の1週間前頃からです。
この頃の周囲のカビは雑味がありますので、気になる方は表面のカビは剥いて、おいしい中身だけお召し上がり下さい。
チーズの本場フランスではこの様な食べ方もあります。

【カマンベールの特徴】

カマンベールの特徴地元の風土になじんだ製法とは?
フランス・ノルマンディー原産のチーズ。アトリエ・ド・フロマージュでは信州・浅間山麓の気候風土のなかで、この土地になじんだ製法でカマンベールをつくっている。
 この製法の違いとは東信州の標高900メートルの寒冷な高原に工房があり、南斜面で日本でも有数の少雨地帯であるため、比較的乾燥していて湿度が少ないなどの気候、風土の環境に合わせて、カマンベールの製法を築いてきたということがあげられる。
 また原料となる牛乳のこだわりもある。
* 原料乳〜地元で搾った牛乳のみを使用し、乳質の濃い原料乳を使用している点である。近くの契約牧場で飼育されるジャージ種の牛乳と近郊の牧場から集められるホルスタイン種の牛乳を混合して使用している。ジャージー牛乳とホルスタイン牛乳の比率は1:2平均で多くて同量、少なくても1:3を超えることはない。
  そのために乳脂肪は4%を下回ることはなく、とても濃厚な牛乳である。
 フランスのカマンベールの本場ノルマンディーでは乳脂肪5,0%というとても濃い牛乳を原料にカマンベールを作っているが、わざわざ脱脂して脂肪分を薄くしてつかっている。
 その理由は乳脂肪が多いとチーズの基になるカードが脂肪に付着する水分が多すぎるために柔らかくなり過ぎ、良好なカマンベールができないからである。
 しかし、信州のこの風土でのカマンベールは濃厚な脂肪分のカマンベールの方がふさわしいと、アトリエ・ド・フロマージュでは考えるようになった。この土地の湿気の少ないことが、独自のカマンベールを作るのに役立ったのだ。
 高い脂肪分の牛乳でカマンベールを作ると、チーズのもとになる塊のカード内に水分を貯め過ぎてしまう傾向がある。
 この状態でカマンベールを熟成させると苦味や雑味が出て、アンモニア臭なども早くでるようになる。
 そのためフランスでは製造所によって異なるが、3,0%前後まで乳脂肪分を脱脂して原料乳にしている。

 もともとカマンベールの風味をつくるチーズ表面の白カビ(ペニシリウム・カマンベリティ)は牛乳内の蛋白質を分解して風味成分のアミノ酸や酵素を生成して特有のおいしさを作る性格が強いので、チーズ製造者は原料乳の脂肪分よりも蛋白質分を優勢して考えるところがある。

 フランスの乳製品専門学校に留学中に学んだカマンベールの風味を強くする方法がある。
それは原料乳中の乳蛋白質を多くすることで、これは牛の飼料によってもできるが、工場段階では乳蛋白質を添加することもあると教えられた。
 カード中の蛋白質を多くすることで白カビによる蛋白質分解量を高めて、風味を強くしようというわけだ。

 アトリエ・ド・フロマージュが原料は高い蛋白質(平均で普通より+0.5%程度)の牛乳を使っているが、脂肪分については4.0〜4.5%と大変に多くなっている。
 先に述べたように乳脂肪が高いとカマンベールは大変につくりに難い。
 アトリエ・ド・フロマージュはこの土地の気候・風土をカマンベールづくりにうまく取り入れ、また製法の改良や熟成室でのチーズの状態に応じての手入れなどのきめ細かい作り手の努力によって、高蛋白、高脂肪のカマンベールを作ることが出来るようになった。
 
2・【ブルー】

ブルー熟成は2段階。第1熟成は湿度95%以上、温度12〜13℃のCAVEで1ヶ月熟成。第2熟成は青カビが繁殖したチーズを和紙で包み、温度8℃以下の冷蔵室。ここでゆっくりと低温熟成させることで、ブルーの風味に深みがでてきます。
アトリエのブルーは大変に長熟タイプで製造日から換算すると約8ヶ月で完熟を迎えますが、チーズをカットしてから1ヵ月の賞味期限で販売しています。できるだけ工房で熟成させたチーズを出荷していますので、賞味期限内にお召し上がり下さい。
またブルーの表面の皮をとって、美味しい中身だけをお召し上がり頂けるようになりましたので、充分にブルーの醍醐味がお楽しみいただけます。

3.【カマンブルー】

カマンブルー熟成は湿度95%以上で温度10℃で約10日間寝かせた後、熟成室から出して、和紙で包装してから2ヵ月で完熟になりますので、賞味期限はこの完熟時になります。
食べごろは周囲の白カビの熟成と内部の青カビとの熟成が合わさる期限の3週間ほど前から。ふたつのカビ熟成がとても魅力的な味を作りだしていきます。
 フェアー会場などで皆さんまず見た感じかわっているので「何ですか?」とたずねるお客様が多いです。数名の方は「モルビエみたいなチーズですか?」と聞いてきた方もいたので「灰ではなく青カビが入っている。」と説明すると「なるほど!」といった具合で納得して試食された方がいました。全体的なお客様の意見は「青カビが入っているがマイルドで食べやすい。」又「面白い。」、「おいしい。」という意見が多くて、まれに、「すごく美味しい。」、「私、これ好きです。」という意見もありました。

4.【バジル入白カビチーズ】

バジル入白カビチーズ 表面が白カビで覆われ、形共に一見カマンベールに見える白カビタイプのチーズです。
しかし中にはバジルが入っており、カマンベールよりもしっかりしたパットゥが特徴です。
 乾燥バジルはカードを型詰めする際に混ぜ込みます。このときにカードをざるに取ってホエーを抜くため、カマンベールよりもしっかりしたパットゥのチーズになります。 熟成は湿度70%、温度13℃のCAVE(熟成室)に約10日間、チーズを反転しながら寝かせます。
カマンベールよりもホエーを多く抜くため、水分含有量が少なく、白カビの生育が遅くなります。
白カビの状態を見ながら10日間よりも長く熟成室に置くこともしばしばです。
 その後、和紙に包んで包装、出荷となりますが、標準値でそれから6週間後に完熟を迎えます。
完熟したものがおいしいのはもちろんですが、このチーズについては、まだ芯が残るやや若いものもまた美味。
ほんのりとした酸味とバジルの香りが良く合うのです。

その2 

【ウオッシュ・タイプ】 ルージュ 〜

ウオッシュ・タイプ ルージュ チーズの表面を塩水で洗いながら熟成室で管理する「ウオッシュ・タイプ」といわれるこの種類の熟成法は世界中に850種以上あるといわれるチーズのなかでも異質です。
よくチーズの本で塩水のみで洗ったように書かれていますが、それは今では本場ヨーロッパでも極めて少なくなりましたが伝統的に何百年も作られているフロマージュリエ(チーズ工場)でのお話。よく日本酒に蔵元で家付き酵母がいてその家独自の味を作ってくれるといいますが、チーズの場合もまったく同じ原理とお考え頂ければよろしいと思います。
しかし、残念なことに本場ですら伝統が途絶え、近年再開したと伝統チーズ?が多く、家付き酵母だけで熟成させるのはとても難しいのが実情のようです。
そこでどうするかというと、ヨーロッパには優秀な菌株会社がいくつかあって、そこから菌を購入して使っています。
チーズは種類の違いや風土によって、製法が大変複雑で微妙に変わってきますので、一般論というのが本当に言えないのですが、そこをあえて簡略にご説明しますと、ウオッシュ・タイプの熟成を促すために、Brevibacterium linens(リネンス菌)はよく使われます。 この菌はタンパク質を強力に分解して、アミンやアンモニアを作り、熟成がすすむと特有の褐色表面皮膜と刺激臭の強い、特異な風味になります。

酵母ではKluyveromyces,Debaryomyces,Rhodosporidiumなど特異な風味を加えるときに使う。
私たちの「ルージュ」でもリネンス菌の他に、Debaryomyces hanseniiを使ったことがありますが、あまりに強い影響をチーズに与えるために、現在は使用しておりません。
現在の「ルージュ」はリネンス菌の胞子の粉末を入れた塩水で、約1ヶ月半の間チーズの表面を洗いながら熟成させています。

【ウオッシュ・ブルー】

ウオッシュ・ブルー ルージュと並んで、「ウオッシュタイプ」といわれる種類のチーズです(詳しくは上記ルージュの欄をご覧ください)。ルージュと異なる点は形だけではなく、内部に青カビが入っていることです。
アトリエではルージュと同様、湿度95%、温度12℃の熟成室で食塩水にBrevibacterium linens (リネンス菌)という菌の粉末を加えて、約1ヶ月半の間チーズの表面を洗いながら熟成させます。始めの1週間はリネンス菌の働きが弱く、内部の青カビが表面に出てきてしまうため、2日おきに青カビをこすり落とすようにウオッシュします。2週間目になるとチーズの表面はリンネ菌の働きによって、うっすらと色づき、青カビの働きは内部にとどめられます。
熟成室で1ヶ月半熟成したウオッシュ・ブルーは和紙で包装し、温度8℃以下の冷蔵室でさらに熟成させます。和紙で包装してから完熟を迎えるまでの2ヶ月後まで、ウオッシュ・ブルーの表面は徐々に粘りけのある褐色皮膜で覆われ、アンモニア臭を伴った特有の匂いがでてきます。このリネンス菌による独特の風味と内部の刺激的な青カビの風味が、互いの個性を高め合って芳醇な味わいを醸し出します。


 
 【リコッタの特徴】

リコッタの特徴 アトリエ・ド・フロマージュのリコッタは爽やかなコクと牛乳本来からくるほのかな甘味を感じさせる特徴のあるおいしさがあります。
 その理由は作り方のこだわりにあります。リコッタはチーズ製造中にでてくるホエーを主原料にしていますが、アトリエ・ド・フロマージュではこのホエーをモッツアレラ製造時にでたものしか使いません。それはいろいろなチーズのホエーでつくってみた結果、モッツアレラからいちばん素晴らしいリコッタが出来上がったからです。

 リコッタは原料を90℃以上に熱した後、クエン酸を入れて蛋白質を瞬間に凝固させ、鍋の上に浮き出てきた蛋白質主体のイタリア語でFIOCCA(フィオッカ)といわれる凝固物をすくって網状の方に入れ、脱水して作りますがもうこのFIOCCAの段階で甘酸っぱいおいしい香りがしてきます。